世界の果ての絵

銅版画、油彩で描いた廃墟や深海の絵を紹介します。

【銅版画】窓の光

f:id:chucky_thousand:20170508162323j:image「窓の光」銅版画、2016、12x18cm

初めて本格的に作った銅版画作品です。

古城の窓で何やらエネルギーを発している人物。

「油絵と違って線が使えるぞー」というのが嬉しくてうねうねした光のラインを多用したのを思い出します。

今見るといろいろ拙いところがありますが、まぁ初めてですし。思い入れ深いものがあります。

エッチング制作過程

この作品「エッチング」という銅版を酸で腐食させて描く技法で制作しています。

展覧会で見に来た方にそういう話をしたらとても喜ばれていたので、ここでエッチングの解説してみようと思います。 

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まず銅版にグランドという謎の液体を薄く垂らして、火で炙ったりして薄い膜になるように固定します。(成分はアスファルトとか?よく分かりません) 

これが下絵。これをトレーシングペーパーで左右反転させてさっきの銅版に転写します。

 

さぁ、ようやく描画作業に移ります。

描くのはこのエッチングニードルという道具を使います。

アーテック エッチング専用ニードル 1本針 21006

まぁ、要は針です!

このニードルでさっきの銅版に転写された絵をなぞると

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このようにグランドの膜が剥がれます。

この状態で酸の水槽に放り込む事で、膜が剥がされた場所にだけ溝ができるのです。

腐食時間が長いと太い線になり、短いと薄い線になります。なので、何度も水槽から取り出して、また描いて漬けてという事を繰り返します。

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最終的にこんな感じに。

刷るまでどんな絵になるか分からないので、何度も試し刷りしながら絵を仕上げていきます。

photoshop で例えるとプレビューの画面見ずにブラシ載せてるようなもんですからねー。終盤は「ちょっと描いては刷り、ちょっと描いては刷り」になっていきます。

改めて文章にするとなんとも気の長い技法だなぁって思いますね。

でも、やってみると、この融通の効かない感じが頭を使わされて面白い気がします